畑のブログBLOG
2018.04.06
聴く力
問診や体表観察をしている時に何か抱え込んでいるなと思うことがあります。
初診時に話をしてくれる患者さんもいれば、言葉を濁してあまり聞いてほしくないという雰囲気を出し話をしてくれない患者さんもいます。
他人には言えないことの一つや二つ、誰にでもあると思います。
世の中にはこのような簡単には言えないようなことでも聞き出せてしまう方がいるのです。
以前に阿川佐和子さんの聴く力という本を読んだことがあります。
阿川さんにインタビューされた方は話すつもりではなかったことまでつい話してしまうと言います。
また、森昌子さんが元首相の田中角栄さんをイタビューした時のことがテレビで放映されていたことがあり、インタビューされる側の田中角栄さんが涙を流していました。
どちらにしても、印象としては自然体な雰囲気の中で流れるように、話すつもりではなかったことを自然と話しているようでした。
これは私たち鍼灸の世界でも重要な能力で、もちろん話をする能力も大事ですが、聴く能力の方が大事だったりします。
単に何でもかんでもというわけではなく、聞きたい情報を聞き出す能力です。
これが非常に技術として難しいです。
無理に聞き出そうとすると患者さんにとっては不快になり、聞かないと患者さんへの理解が深まりません。
話したいが聞いてほしくない人や聞いてほしくないが話したい人もいます。
診療においては症状のことばかり聞くのではなく、時にはコミュニケーションの一環で世間話をすることもあります。
このバランスもまた非常に難しいです。
また聞くことが全て正しいということでもありません。
阿川さんや森さんのようにインタビューする。
自然体で流れるように。
無意識の中で意識されている世界だと思います。
聞き上手な人は話し上手であると言います。
気の交流がちゃんと出来ているかということ。