畑のブログBLOG
2017.05.02
臓腑の気3
前回の脾の働きについて、少しだけ続きをお話しようかと思います。
生き物は飲食物がないと命を維持できませんよね。
人間も同様です。
仕事柄、戦争を体験している高齢の方と話をする機会が多いですが、現代では想像できないような貧困生活をしていた方がほとんどです。
ある患者さんがシベリアに捕虜となった時のお話を伺ったことがありました。
冬はマイナス40℃という過酷な状況の中で、食べていたものはジャガイモ一つとか、人参一本とかそれだけしか食糧を与えてもらえず、何十kmも丸太を運ばされたり、電柱を立てたりと強制労働をしていたようです。
一緒に捕虜になった人の大勢が餓死してしまったと聞きました。
ただその中で、その患者さんは体重が減るどころか、1kg増えていたのだとか。
現在は95歳になられ、とても元気です。
ではなぜ患者さんは無事に帰国できたのか。
当時の食事量を考えても、とても体重が増える量ではありません。
その患者さんは今でも、食事でおいしくないものはないとよく仰られます。
このおいしく感じるかどうかというのは、かなり大事だと思います。
脾は口と舌と関係が深い部分で、弱ると味覚に異常が出てきます。
この患者さんは脾と胃がとても強い方で、さらに重要なことは過酷な状況下でも後ろ向きに考えることなく、ポジティブな精神力を常に持っていたことです。
普通の人だと不安と恐怖に押しつぶされてしまう状況だと思います。
この二つがしっかりしていたことで、生還できたのではと感じました。
私たちは胃の気というものを重要視しています。
どんな病気でもこの脾と胃の働きがしっかりしているかどうかはかなり重要です。
現代は食糧に困ることは、少ないと思います。
逆に溢れかえって、平気でご飯を残す子供も多いです。
最近感じるのは、お腹いっぱい食べることは大事ですが、食材を味わず、ただお腹をいっぱいにしているだけのひとが多いなと。
お腹いっぱいな状態を続けると、物事の正しい判断ができなくなります。
そうすることで嫌なことを考えやすくなったり、ネガティブになりやすくなったり、精神面でもよくないわけです。
味わいながら食べると、まず幸福感を感じます。
ゆっくり食べることになるので、量をたくさん食べなくても済みます。
脾と胃を弱らせることが少なくなります。
そして物事に対して、正常な判断や思考、ポジティブな精神などにつながり、健康になるきっかけになるのではと。。。
こういうことで、色々な病気になってしまっているひとも多いと感じます。
でも食べることが大好きなひとにとっては、酷な話かもしれませんね。。。。