畑のブログBLOG
2017.05.13
臓腑の気7
前回の心の臓の続きです。
中医学の診断では四診(望、聞、問、切)というものを駆使し、病の分析をしていくのですが、全てにおいて最初の段階で神(生命力)をよく観察することを非常に大事にし、その後の細かい診察を行っていきます。
これは初診で顔を合わせた時点で治療者と患者さんとの間で最初の気の交流となり、施術にあたる上で治療効果の向上や信頼関係を作り上げていくための第一ステップとしてもかなり重要になってきます。
第一印象というものは何事においても、この先の関係性をどのようにしていくのかという点において一つ間違えると修正が効かなくなる場合もありますよね。
鍼灸治療というのは、施術者の心理状態、患者さんの心理状態が大きく影響されます。
誰でも嫌な人に治療をしてもらってもいい気分にはなれませんよね。
中医学には中医心理学といって膨大な実践経験に基づいて作られた心理学専門の書籍があるほど、重要とされています。
これには心理活動の法則性や発病機序、治療法、養生法などについて詳しく書かれています。
人間の人格形成にあたっては、両親から受け継いだ体質、教育性、社会性などの影響が強く、個人の思考パターンが疾病の発病に関わっていて、その思考パターンというのはそれぞれに癖があり、それらを踏まえて治療することが理想としています。
ただ、逆に病気ためにある固定された思考パターンになっている状況もあるので、そうした場合には治療していく中で人格が変わることはよくあります。
病気になると、気分が沈み、嫌なことばかり考えて、何もかもが良く感じられないということは理解していかなければいけないと思います。
そのため東洋医学では「病を診て人を診ず」「病を治して人を治さず」ではいけないということを昔からずっと言い続けています。
神というのは目に見えない無形の物で、気から成り立っているわけで、私たちはその見えない気を相手に施術していくわけですから、鍼灸をするにあたってはこれを重要視して、患者さんの身体のみではなく、こうした神(生命力)の部分、育ってきた環境などの社会性などに目を向けて接していくのです。
よく人相や手相にはその人の性格が表れるといいますが、無形の物から有形の物が出来上がるという点においてありえますよね。
日本人はもともと神教を大切にしてきた民族ですから、本来であれば身近な存在であったのですが(これには色々な事情がありますので、割愛します)
施術する側も患者さん側も安定した精神状態でいるために、まずは施術する側が患者さんを包み込むような暖かい気持ちでいないといけないですね。
長くなったので、今日はこの辺で。。。