畑のブログBLOG
2017.05.22
臓腑の気8
今までは五臓についてお話ししてきましたが、今回からは六腑について。
六腑は基本的に、飲食物の受け入れ、消化、吸収、排泄などの水穀の通路、伝化の働きが中心です。
五臓の働きは、受け入れた水穀からエネルギー(気、血、津液)を化生し、これらを全身に輸送して、濡養しています。
五臓は六腑に、六腑は五臓に、五臓は五臓同士で、六腑は六腑同士で依存していて、それぞれが個人プレーをして機能しているのではなく、協調して働いています。
まずは胆の腑から。
これは五臓で出てきた肝の臓と表裏関係、陰陽関係にあります。
そのため、肝の臓とはとても密接な関係です。
その作用は、清汁を蔵し、排泄して、水穀の運化を助けています。
西洋医学では消化液の一部に胆汁が含まれていますが、同じようなニュアンスですね。
ただ、この排泄には東洋医学では肝の働きによって調節されていると考えます。
そのため、肝の臓の機能が失調してくると、胆の働きが悪くなってきます。
そのほかに決断を主ると言われていて、肝胆に異常が起きていると決断力が弱くなるため、優柔不断になってきます。
また何かにビクビクし、怖がりな性格になることもあります。
次に小腸の腑。
受盛の官と呼ばれ、胃で腐熟した濁の部分を受け入れて、さらに清と濁に分けます。
この分けた清の部分を脾に送り、濁の部分は膀胱や大腸に送り、小便や大便で排泄されるようにしています。
そのため、小腸に異常があると、消化不良や尿、便の問題が出てきます。
西洋医学で膀胱に異常がないのに膀胱炎の症状が出ることがあり、最近では心因性の膀胱炎というのがあります。
これは小腸が心の臓と陰陽関係にあるため、これが何かの病理によってに小腸に影響して症状が出ている場合があります。
このときは小腸に関係のあるツボ1穴でよくなることがあります。
次に胃の腑。
これは脾のところでちょくちょく話が出てきていたかと思いますが、五臓六腑の海と言われるほどに重要な部分です。
その機能は、飲食物を受け入れて蓄え(受納)、消化(腐熟)していきます。
消化のスタートラインですね。
その後、腐熟した残渣物を小腸や大腸へ輸送(降濁作用)していきます。
働きのベクトルとしては下方向へ向いているため、ここに異常が出てくると食欲不振、嘔吐、便秘などが出てきます。
脾の働きに依存しているため、症状が似てきますが、脾の場合は水液の運化と関わるため、便においては水様便や泥状便など水っけが多くなりますが、胃の場合は陽的な作用が強いため、乾くことが多いです。
次に大腸の腑。
ここは小腸からの延長で、残渣物からさらに有用な水分を吸収して、脾の臓へ送ります。
残った残渣物はイメージ通りに大便で排泄します。
水の再吸収とかかわるため、津液と関係が深いです。
そのため、排便異常(下痢、便秘)と関わりが強いです。
解剖学的には、東洋医学では廻腸、広腸、直腸、魄門(肛門)から成り、西洋医学とは若干名称が違います。
次に膀胱の腑。
津液を蔵すといわれ、肺の臓、脾の臓、腎の臓、小腸の腑から輸送されてきた濁水を貯蔵します。
いわゆる尿というものですね。
排尿調整と関わりが深く、これには表裏関係にある腎の働きが重要になります。
これは蒸騰気化という温煦作用ですが、尿だけでなく、あらゆる内臓器官の機能活動の原動力になっています。
膀胱の腑は腎と相互依存しあっており、排尿調整をおこなっているため、尿が出ない、出にくい、頻尿、失禁などの排尿異常と関連してきます。
つぎは三焦と行きたいところですが、長くなったため、次回にします。